マグロうんちく。
- マグログ
マグロのうんちくを少々。
マグロと一緒に全国各地にマグロ解体ショーを始めて16年。正に相棒と呼ぶべきマグロですが、もっとマグロの事についてご紹介させていただきます!
マグロは天然と養殖がありまして、天然ですと、日本で主に食べられているマグロは5種類あり、マグロの王さまといわれるのがクロマグロ(本マグロ)。東京の豊洲市場には日本全国、世界各国からよいものが届き、初セリで1本2000万円超えの値がつくこともあります。「海峡もの」といって、津軽海峡、特に青森・大間で捕れるものが最上とされるが、津軽半島側や函館の戸井でも極上ものが揚がる。漁期は場所によって異なり、大間は8月頃から1月初旬までです。以降は産卵の準備に入るため禁漁になります。
クロマグロは日本近海で産卵した後、太平洋へ出ます。ハワイ沖を回遊し、メキシコまで行ってアメリカ西岸を北上し、アラスカまで行って戻ってくる。赤道を越えることはほとんどなく、北太平洋を何年もかけて回遊しています。一方、南太平洋を大きく回遊しているのがミナミマグロ(インドマグロ)で、南アフリカのケープタウン沖で捕れるものが評価が高いです。
日本近海や東南アジア沖でよく捕れるのは、メバチ、キハダ、ビンナガ(ビンチョウ)です。メバチはマグロの中で最も漁獲量が多く、冷凍ものが安定的に出回っている。キハダは名古屋で特に好まれ、上質なものは豊洲ではなく名古屋に回ることもあります。ビンナガは脂があるものをスーパーが「トロビンチョウ」と称して人気が出ました。これらの旬は春から夏。脂がのり、同時期のクロマグロより美味しいことも多いです。
マグロは速い!
マグロの瞬間時速はとても速く、身の危険を感じたり、獲物を追うときは時速100㎞以上、瞬間で160kmとも言われています。水の抵抗が少ない紡錘形の身体には、ヒレが収まる溝があります。周りの水温より体温を高く保つことができ、疲れ知らずの長距離ランナーでもあります。太平洋クロマグロは夏に南西諸島周辺や日本海で生まれ、その多くが長崎県の壱岐・対馬周辺で冬を越して太平洋を横断。北アメリカ西岸で3歳頃まで過ごし、日本周辺に戻って産卵。その後は日本近海で過ごすといわれています。
マグロはずっと泳ぎます!
マグロは【止まらない魚】としても有名です。マグロは世界の海を回遊するため筋肉質で、常に新鮮な酸素を補給して筋肉に回す必要があります。水の中に溶けている酸素を取り入れるには泳ぎ続けるしかないのです。口を開けて泳ぐことで口からエラに水が流れ、効率よく酸素を取り込むことができます。逆に泳ぐのをやめてしまうと呼吸ができなくなり、死んでしまいます。
マグロは美味しい!
マグロの赤身・トロと好みがそれぞれ人により変わりますが特徴として、マグロの赤身は濃厚な旨みがある一方、脂が多いトロは甘みがあり、現代の日本人の嗜好に合います。トロが食べられるようになったのは、氷で保冷するなど流通がよくなった昭和の戦後から。トロは傷みが早く、江戸時代は捨てられるか畑の肥やしになっていました。
刺身には向かない部位も美味しく食べられます。テール(尾)に近い筋張った赤身は、ねぎま鍋やねぎま汁がおすすめ。マグロから出る旨みに加え、筋に多く含まれるゼラチン質が加熱によりとろけて食感が変わり、美味しくなる上にコラーゲンがたっぷり。ねぎま汁はもともと魚河岸で働く人たちの賄い料理だ。マグロの端切れに塩をしてひと晩置き、ゆでて酒、塩、醤油で調味してネギを投入。絶品です。
番外編
カジキマグロと慕われるカジキ。魚体の大きさが似ており、飲食店でマグロと同様に用いられることからその名が定着したが、実はマグロとは別種です。10種類以上あるカジキ類の中で高級とされるのがマカジキ。一般にはメカジキが多く流通しています。