マグロの豆知識
- マグログ
マグロ解体ショーでパートナーと呼ぶべきマグロの知識をいくつかご紹介します!
マグロ解体ショーの出張ケータリングを行っております鮪達人。やはり主役は生マグロ!彼がいないとショーは成立しません!そこでマグロの知識をいくつかご紹介していきます!
天然と養殖、畜養について
マグロは天然と養殖がありまして、天然ですと、日本で主に食べられているマグロは5種類あり、マグロの王さまといわれるのがクロマグロ(本マグロ)。東京の豊洲市場には日本全国、世界各国からよいものが届き、初セリで1本2000万円超えの値がつくこともあります。「海峡もの」といって、津軽海峡、特に青森・大間で捕れるものが最上とされるが、津軽半島側や函館の戸井でも極上ものが揚がる。漁期は場所によって異なり、大間は8月頃から1月初旬までです。以降は産卵の準備に入るため禁漁になります。
クロマグロは日本近海で産卵した後、太平洋へ出ます。ハワイ沖を回遊し、メキシコまで行ってアメリカ西岸を北上し、アラスカまで行って戻ってくる。赤道を越えることはほとんどなく、北太平洋を何年もかけて回遊しています。一方、南太平洋を大きく回遊しているのがミナミマグロ(インドマグロ)で、南アフリカのケープタウン沖で捕れるものが評価が高いです。
日本近海や東南アジア沖でよく捕れるのは、メバチ、キハダ、ビンナガ(ビンチョウ)です。メバチはマグロの中で最も漁獲量が多く、冷凍ものが安定的に出回っている。キハダは名古屋で特に好まれ、上質なものは豊洲ではなく名古屋に回ることもあります。ビンナガは脂があるものをスーパーが「トロビンチョウ」と称して人気が出ました。これらの旬は春から夏。脂がのり、同時期のクロマグロより美味しいことも多いです。
天然ものは、様々な海域で泳いでいるマグロを漁獲したもの。遠洋ものは船上で締め、船の冷凍庫で急速に冷凍します。近海ものは、船上で氷詰めにして水揚げし「生」として扱います。
養殖には、卵から孵化したばかりの稚魚から育てるものと、卵を孵化させて育てる完全養殖があり、クロマグロ、ミナミマグロが対象になります。日本では鹿児島・長崎・愛媛・高知が主な産地です。完全養殖は30年以上の研究を経て2002年に近畿大学が成功し、「近大マグロ」として話題になりました。
蓄養とは、幼魚や痩せた成魚を捕え、生け簀などで育てます。クロマグロはスペイン・クロアチア・マルタ・トルコ・ギリシャなど地中海諸国で行われ、ミナミマグロは、オーストラリアやメキシコで行われています。養殖と蓄養は育て方が異なりますが、日本農林規格(JAS)法により店頭ではどちらも「養殖」として扱われます。
天然ものは一本一本の品質が異なりますが、歯ごたえと繊細な味わいがあり色持ちがします。養殖ものは天然ものと比べるとより脂が乗っています。
マグロは速い!
マグロの瞬間時速はとても速く、身の危険を感じたり、獲物を追うときは時速100㎞以上、瞬間で160kmとも言われています。水の抵抗が少ない紡錘形の身体には、ヒレが収まる溝があります。周りの水温より体温を高く保つことができ、疲れ知らずの長距離ランナーでもあります。太平洋クロマグロは夏に南西諸島周辺や日本海で生まれ、その多くが長崎県の壱岐・対馬周辺で冬を越して太平洋を横断。北アメリカ西岸で3歳頃まで過ごし、日本周辺に戻って産卵。その後は日本近海で過ごすといわれています。
マグロはずっと泳ぎます!
マグロは【止まらない魚】としても有名です。マグロは世界の海を回遊するため筋肉質で、常に新鮮な酸素を補給して筋肉に回す必要があります。水の中に溶けている酸素を取り入れるには泳ぎ続けるしかないのです。口を開けて泳ぐことで口からエラに水が流れ、効率よく酸素を取り込むことができます。逆に泳ぐのをやめてしまうと呼吸ができなくなり、死んでしまいます。
マグロの歴史
人とマグロとの付き合いは、約5000年以上の歴史を持っていると考えられています。岩手県陸前高田市にある縄文時代中期の太陽台貝塚から、マグロの骨がの断片が出現していることから、縄文人はマグロを食べていたと考えられています。貝塚のある島の周り突端にマグロが接近した時や内湾に迷い込んだ時、縄文人たちは銛で突いたり綱に絡めたり、簡単な定置網を仕掛けたりしてマグロを捕らえていたと想像されています。
弥生時代の貝塚からもマグロの部分骨片は出土しているので、マグロは縄文時代から弥生時代にかけても獲り続けられいたと考えられています。万葉時代にもマグロを捕らえらています。万葉の歌人山部赤人が「万葉集」にをいてマグロの歌を詠んだのが神亀3年「西暦726」10月10日だったことに因んで、日本鰹鮪漁業組合連合会「日鰹連」が1985年に10月10日をマグロの日に制定されました。それくらい日本人はマグロが好きなのです。
マグロが広まりにくかったのは、塩漬けに向かないためという理由もありました。他の多くの魚は塩漬けにして日持ちさせ、味を良くすることができます。
しかし、マグロは塩に漬けてしまうと味が悪くなってしまう。もっともヨーロッパ地中海周辺の国ではマグロの塩漬けが生み出されており、やり方や気候次第なんでしょうね♬
こうした様々な理由で
【獲れるのに人気がない食材】だったマグロの地位が上がったのは、江戸時代中期、こいくち醤油が広く出回るようになってからでした。それまで醤油といえばたまり醤油が主で、生産地が近畿地方だったため、出荷量が需要に追いついていなかったのですが、こいくち醤油が江戸周辺で生み出されたことによって解決されたのです。どこの誰が発見したのかは不明ですが、いつしか
「マグロを醤油に漬けてみろ!うまいぞ!!」
という噂が広まり、両者の消費量が一気に拡大。同時期にファーストフードとして確立し始めていた握り寿司屋も「漬けマグロは酢飯にも合うじゃないか!」と目をつけ、人気を博しました。
マグロは美味しい!
マグロの赤身・トロと好みがそれぞれ人により変わりますが特徴として、マグロの赤身は濃厚な旨みがある一方、脂が多いトロは甘みがあり、現代の日本人の嗜好に合います。トロが食べられるようになったのは、氷で保冷するなど流通がよくなった昭和の戦後から。トロは傷みが早く、江戸時代は捨てられるか畑の肥やしになっていました。
刺身には向かない部位も美味しく食べられます。テール(尾)に近い筋張った赤身は、ねぎま鍋やねぎま汁がおすすめ。マグロから出る旨みに加え、筋に多く含まれるゼラチン質が加熱によりとろけて食感が変わり、美味しくなる上にコラーゲンがたっぷり。ねぎま汁はもともと魚河岸で働く人たちの賄い料理だ。マグロの端切れに塩をしてひと晩置き、ゆでて酒、塩、醤油で調味してネギを投入。絶品です。
美味しい柵の見分け方
ここではサクで買う場合のチェックポイントをご紹介します。
色・・・自然な赤みがあるかどうか。白っぽいものは鮮度が落ちます。
筋目をチェック・・・血栓からシミの有無・・・釣ってから冷凍するまでの管理が悪いときにできる内出血で、冷凍マグロの値の安い物によく見られます。小さな血の固まりなので刺身にあるとクレームの原因にもなることも。
正しい筋目は、刺身を切る時に包丁が筋に対して垂直に入ります。平行になっていたり筋目がラインのようになっているものは避けましょう。
ドリップが無いもの・・・冷凍したものでドリップがあるものは、解凍から再冷凍した恐れがあるので要注意です。「マグロのプロ」である仲卸の方によく話を聞いて選ぶと良いでしょう。
番外編
カジキマグロと慕われるカジキ。魚体の大きさが似ており、飲食店でマグロと同様に用いられることからその名が定着したが、実はマグロとは別種です。10種類以上あるカジキ類の中で高級とされるのがマカジキ。一般にはメカジキが多く流通しています。