マグロのちょっと変わった歴史。
- マグログ
今回も少し変わったマグロの歴史をご紹介!
【マグロの和名と英名など】
魚類の方言は実に多いです。魚種によっては、1種類だけで1冊の本ができるほどです。ここでは、ごく簡単に異名をあげておくにとどめいたいと思います。
クロマグロ・・・マグロ・ホンマグロ(東京)・クロシビ(静浦、小名浜)・ホンシビ(豊橋)・シビ(東北地方、静浦、富山)・体重7.5KG以下の若魚<メジ、ホンメジ、クロメジ、ヨコワ、チョウボウ>
メバチ・・・バチ・マバチマグロ(東京)・ダルマ・メンバチ(湯浅)・メブト(福岡)・ヒラシビ(宮崎)・メッパ・オオバチ<大型魚>・入梅マグロ(三崎、城ヶ島)
ビンナガ・・・ビンチョウ・トンボ・ビンナガマグロ・ビナガ(宮城)・ヒレナガ・カンタロウ・トンボシビ<若魚>(西日本・串本・高知)
ミナミマグロ・・・ゴウシュウマグロ・インドマグロ・バチマグロ
タイセイヨウマグロ・・・クロヒレマグロ・ミニマグロ
コシナガ・・・シロシビ・セイヨウシビ
ついでながら、カジキ類の方言<異名>についてもふれておきますと以下の通りです。
マカジキ・・・マカジキ(東京・三崎)・オカジキ(関東)・カジキトオシ・ナイラゲ(高知)・ハイオ(福岡・熊本)
クロカジキ・・・クロカワ・マザアラ・クロカ(東京)・カツオクイ(伊勢)・アブラカジキ(沖縄)・クロカジキ(田辺)
シロカジキ・・・シロカワ・シロカワカジキ・ゲンバ(高知)・シロマザアラ(三崎)
メカジキ(メカジキ科は1種)・・・メカ・メカジキ(東京)・カジキトオシ(高知)・シュウトメ(和歌山県)・ゴト(鹿児島)・ダクダ・ラクダ(千葉)・ハイオ(熊本・壱岐)
マグロの種類の中で、和名と英名がもっとも一致しているのが「メバチ」だと思います。感じでは「目鉢」と表記しますが、文字通り目の大きなマグロです。和名は「メバッチリ」からきているという巷説があるほどです。
ところで英名も「ビックアイツナ(big eye tuna)といいます。「キハダ」も「黄肌」の表記はあります。英語では黄色い肌よりも鰭が強調され「イエローフィンツナ(yellow fin tuna)」です。
「クロマグロ」は英名で「ブルーフィンツナ(blue fin tuna)」といいます。釣りたてのクロマグロは黒色というより「群青色」なのだと言われています。「ビンナガ」は「アルバコーレロングフィンツナ(albacore kong fin tuna)」。この名も特徴をよくおさえています。「ミナミマグロ」は「サウスンブルーフィンツナ(black fin tuna)」。「コシナガ」は「ロングテイルツナ(long tail tuna)」とよばれています。こうしてみると、英語名は鰭に注目してつけられている例が多いようです。
なお、マグロはラテン語でthunnosといい、ギリシア語ではthynまたはthynnosといいます。
フランスでも古代プロヴァンス語でtonといい、現代語ではthonといいますが、この言葉はマグロ類の総称です。英名と同じように種類により、タイセイヨウマグロはthon touge・ビンナガはthon blanc・メバチをthon obeseという。obeseは肥満というような意味です。
マグロの絵馬
【マグロの絵馬】
静岡県沼津市の歴史民俗資料館で学芸員をされていた神野善治氏による次の報告があります。
沼津市の内浦湾に面した静浦口野の金桜神社には3点、マグロを捕獲している様子を描いた絵馬が奉納されています。
その一枚の絵馬は明治40年に「東組西組両網中」によって奉納されたものです。
絵馬の中央には、頂に金桜神社が描かれ、山道(参道)には満開の桜が咲き誇り、一の鳥居から三の鳥居まで見えます。手前には海岸まで迫った山裾の磯近くまで、おびただしい数のマグロが、群れをなして一方向(東)を向いて泳ぎ、まるでマグロが金桜神社へ参詣におとずれたようです。漁師たちが網船でそのマグロを磯場に追い込んでいる様子にもみえます。
描かれている場所は、伊豆国との境にあるイカツケとよばれるアンド(漁場)で、中央の岩は「代官岩」と呼ばれ、韮山代官の江川太郎左衛門がしばしばやってきて、この岩の上でマグロの建切網漁の様子をご覧になっていたという伝説のある場所だといわれています。
また、この絵馬には、村の故老や子供たち、それに母親が、壮観なマグロ漁の様子を見ているところが描かれています。
山の中腹などには三か所に藁茸きの小屋が見えるが、これは「魚見」の小屋で、毎年、マグロの漁季になると、魚見役の漁師がここに登って魚群の来るのを発見すべく見張りをおこなったところです。マグロの群れが来るのは海鳥の動きや、海面の色合い波の立ち具合いなどで判断したといわれています。
毎年、大瀬神社の祭礼も終わる時期になるとメジ(メジマグロ・メジカともいうホンマグロの若魚)がやって来ていました。やがて夏になるとクロマグロ(ホンマグロ)やキハダマグロが来ます。晩秋になるとホンマグロの大きくなったシビ(シビマグロ)がやってきました。こうしたマグロを捕獲する漁網が建切網でした。
マグロ建切網は「立切網」とも表記されます。一般的には「大網」の名で総称されてきました。s身の大きさは地域により異なりますが、「静岡縣水産誌」によると、張置網とよばれるながさ430尋もある網を、水深25尋ほどの沖合に張り、魚群の通り道を遮断して、陸地の方向に誘導し、さらに大網、小網、大囲網、口塞網、取網、寄網、しめ網、まき網などの各網で魚群を追い詰めて陸にひきあげるという網漁です。
切手になったマグロ
【切手になったマグロ】
切手ほど、手軽で、楽しいコレクションはないと言われています。したがって、マニアも多いのです。切手コレクターが多いということは年齢層問わず子供から老人までが興味の対象となる種類があるためです。切手ほどジャンルの広い印刷物もめずらしいといえます。
それに嬉しいことは、お金をかけなくてもある程度は収集することができ、コレクションも増えていきます。図柄の美しいものも多く、収納場所を気にする必要もないのが収集をするのに魅力があるのでしょうか。ですが、本格的にコレクションに目覚めてのの収集となれば、これはまた別です。奥が深く、お金がいくらあってもたりないというのが切手のコレクションかもしれません。趣味の分野はすべてがそうなのでしょう。
それに近年では、その切手を収集したいと思えば、インターネットで簡単に収集することが可能であることが、この方面のマニアを増やしている理由なのでしょう。
魚の切っても多いのです。学生の頃、「切手の水族館」という手テーマの企画で、ある企業の広報紙が魚の切手ばかりを集めたシリーズの「表紙」を見たことがありました。面白い企画だと思ったので記憶に残っています。この例のように毎月、種類の異なった魚を掲載することができるほど魚の切手は多く、中には数か月にわたっての魚種もあったように思います。
その中で、マグロに関する切手の種類はどうなのでしょうか。切手収集家の加藤和宏氏によると「マグロの切手」はその気になって探せば、かなり集まるだろうといいます。ただ、日本では過去に出された「魚介シリーズ」は、残念ながら魚種が少なく、マグロはなかったのではないかとも。
まず、クロマグロの洩縄釣漁業をおこなっているバハマ諸島の切手は、ツナ・フィッシングとみえる。バハマ諸島はアメリカのフロリダ半島に近い大西洋の島々で、北回帰線上に位置しています。もとはイギリス領でしたが1973年にバハマ国として独立しました。近くのバーミューダ諸島でもクロマグロ(英名:ブルー・フィン・ツナ)の切手が発行されています。
コスタリカではビンナガマグロの竿釣漁をおこなっている切手を1950年に発行しています。
ビンナガマグロは体長がおよそ1メートル内外、体重は15キロから20キロほどの小型のマグロ類であるから、日本のカツオ一本釣とおなじような竿釣漁ができます。肉質は淡紅色。やわらかいので刺身にはむきませんが、最近は「ビントロ」とよんあで腹のトロ部分の肉身は人気がでています。
アメリカではシー・チキンの名で油漬の缶詰として人気があります。
ちなみに、コスタリカは中央アメリカのパナマに近い国で北緯10度線上にあり、西海岸は太平洋、東海岸はカリブ海。コスタリカ共和国として1945年に独立しています。
また、ビンナガマグロの切手は、タークス・カイコス諸島でも発行されています。ビンナガマグロは英名でアルバコーレ・ロング・フィン・ツナといいます。
もとフランス領であったセイシェル諸島はアフリカ大陸の東側、インド洋上にあります。映画「さようならエマニエル夫人」のロケ地として知られる島々です。近くにアミラント諸島があり、赤道から南緯10度、東経60度内に点在します。セイシェル共和国として1977年に独立しました。セイシェルでもビンナガマグロの切手を発行しています。
ガンビアではキハダマグロの切手を発行しています。ガンビア共和国は1965年に独立しました。もとはイギリス領で、アフリカ大陸の大西洋岸に面し、セネガル興和国に囲まれた国です。キハダマグロの英名はイエロー・フィン・ツナ。オーストラリアでもイエロー・フィン・ツナと呼ばれ、同国でも切手を出しています。
またアフリカ大陸のインド洋側に面したタンザニア連合共和国でもキハダマグロをデザインした切手を発行しています。
マグロの切手も奥が深いですね!